西加奈子さん「夜が明ける」インタビューを見て

メリッサです。

ここ数日は青空に恵まれ、空を見てはポルノグラフィティのテーマソングに歌われているような「泣きたくなるような青空」を実感しています。北国の冬は暗いんです…

先日NHKのニュースを見ていたら、作家の西加奈子さんが最新作についてインタビューを受けていた。本は好きでよく読む方だと思うが、西さんの作品はまだ読んだことがない。だが、このインタビューは私の食指を動かすものとなった。

インタビュー全文はこちら↓
https://www.nhk.jp/p/nw9/ts/V94JP16WGN/blog/bl/pKzjVzogRK/bp/pKArYVZ94q/

「夜が明ける」は、次のような作品と紹介されている。

思春期から33歳になるまでの男同士の友情と成長、そして変わりゆく日々を生きる奇跡。まだ光は見えない。それでも僕たちは、夜明けを求めて歩き出す。どれだけ傷ついても、夜が深くても、必ず明日はやってくる。

(https://www.shinchosha.co.jp/book/307043/)

私は小説をエンターテインメントとして楽しみたい。自分の周りの生きづらい世界から、違う場所へと連れて行ってくれる、息抜きができるもの、それが私にとっての小説を読む意味だ。だから、このように現実を感じる作品を読むのは苦手だ。

だが、そんな私にも「読んでみようかな」という気を起こさせたのがこのインタビューだった。

西さんはインタビューの中で、「いま本当に苦しいのに、「あの人に比べたら私はましだ」、「感謝しなければいけない」などと周りが思わせる空気がある」と語っている。「どんな人でも、いま自分が苦しいと思うのであれば、助けを求められて、その助けを誰かが受け止めて、手を差し伸べて受け止める社会でないとおかしい」と。

私はそこに引きつけられた。

私は以前うつ病を患っていた。社会復帰してしばらくはまだ、些細なことで涙が出てしまうこともあった。今思うと、周りからしたら扱いにくく大変なご迷惑をおかけしたと反省しきりである。が、当時はそんな余裕はなかった。いつも気が張り詰めていて、それはほんの些細なことで切れてしまう。そんな毎日。

西さんはこのようにも語る。「助けを求められない人が悪いみたいになっちゃうけど、本当はそうじゃない。言いたいことは、「あなたの苦しみを他者と比べる必要はない」ということなんです。あなたが苦しかったら、それはたったひとつの切実なあなたの苦しみなんだから、助けを求める権利があるということを言いたかった。」

「うつ病は甘えだ」「ぜいたく病だ」と言われることもあった。「笑顔を作れるのだから、あなたはそんなに大変じゃない」とも。

西さんはそんな私の心の内を代弁してくれているように感じた。

確かに、自分の周りを、世界を見れば、もっと大変な人はいる。明日どころか一瞬先の命をも知れない状況下で生きている人は大勢いる。

でも、だからと言って今自分が感じている苦しみや悲しみを押し殺す必要はあるのだろうか。「私は安全な国に生まれて、健康でいる」と、半ばムリヤリ「大変ではない」理由を探し、今確かに心にある苦しさをごまかすことが正しいのだろうか。そうすることを自分に課し、また周りから求められて生きているから、日本の幸福度指数は低く、自ら命を絶ってしまう人が多いのではないだろうか。

誰もがそうやって生きているから、誰かの大変さを思う余裕が誰にもないのではないだろうか。

私は以前、晴一さんのnote感想でこのような記事を書いた。

誰もが自分の心に優しくすることに引け目を感じない社会であってほしい。そして、そうすることを許してくれる社会であってほしいと願う。

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